DIY賃貸で自分好みインテリアに!原状回復OKの裏技大全

DIY賃貸 賃貸

家を買わなくても、借りている部屋を“自分の城”に変えられる時代が来ました。この記事では、DIYができる賃貸物件の探し方から、壁や床のかんたん改造、防音対策、退去時の原状回復までをていねいに解説します。

 

  1. DIY賃貸とは何か?最近のトレンドと可能な範囲
    1. ではDIY賃貸でどこまで可能か?
  2. 賃貸での原状回復ルールとDIYの注意点
    1. 原状回復のルール確認ポイント
      1. 模様替えや改造に関する特約の有無
      2. 原状回復の具体的範囲
      3. 貸主への事前許可が必要な行為
    2. DIYを行う際の事前取り決め(特約)の重要性
      1. 改造内容と範囲の明確化
      2. 退去時の原状回復の有無
      3. DIY施工中の責任範囲
      4. 工事期間や近隣周知
  3. DIY可能な賃貸物件の種類と探し方
    1. DIY可能物件の探し方(ネット検索編)
  4. 内見時に見るポイント・交渉ポイント
    1. 部屋の現状と傷み具合
      1. 壁や天井の材質
      2. コンセント・配管の位置
      3. 音の響き具合
      4. オーナーへのヒアリング
  5. 空き家や古民家を使ったDIY賃貸の事例
  6. URや公的機関が提供するDIY可能賃貸制度【原状回復なしOKの裏技】
  7. 賃貸DIYでできるインテリア改造アイデア集【原状回復OKの裏技】
    1. 壁をオシャレに変えるDIYアイデア
    2. 床を模様替えするDIYアイデア
    3. 収納や間仕切りを工夫するDIYアイデア
    4. キッチン・水回りのプチDIYアイデア
  8. 騒音や近隣トラブルを防ぐDIY防音工夫
    1. 床の防音対策アイデア
    2. 壁・窓の防音対策アイデア
    3. ドアや生活設備の防音対策アイデア
  9. 原状回復に役立つアイテム&補修方法
      1. 穴埋めパテ&補修剤
      2. 接着剤・テープ剥がし
      3. ペイントリムーバー
      4. 掃除道具
  10. DIY素材・アイテムの比較表(価格・入手先・原状回復のしやすさ)
  11. 賃貸DIYの成功例・失敗例から学ぶ
    1. 【成功事例】DIYで理想の住まいを実現!
    2. 【失敗事例】ここに注意!原状回復トラブル
  12. 賃貸DIYで理想の暮らしを手に入れよう【まとめ】

DIY賃貸とは何か?最近のトレンドと可能な範囲

DIY賃貸とは

DIY賃貸とは、借主(入居者)が賃貸住宅の内装を自由に改造できる賃貸物件や契約形態のことです​。従来、賃貸では退去時に壁紙や床を元通りに戻す「原状回復義務」があるのが普通でした。しかしDIY賃貸では契約時に取り決めをすることで、借主負担で行った改修について退去時の原状回復義務が免除されます​。

 

例えば、自分で壁を塗り替えたり棚を取り付けたりしても、退去時にそのまま残してOKになるケースです。 この新しい契約形態「借主負担DIY型賃貸借契約」は2014年に国土交通省のガイドラインで提示され、DIY好きの人々から注目されました​。

 

実際、約半数(46.9%)の賃貸入居者がこのDIY型賃貸契約を利用してみたいと考えており​、従来の賃貸では難しかった「賃貸でも自由にリフォームしたい」というニーズが顕在化しています。

 

一方で、現在までに実際DIYリフォームをした経験がある人は4.2%ほどに留まっており​、「やりたいけど踏み出せていない」人が多い状況です。 背景には、少子高齢化による空き家増加や古い物件の空室問題があります​。従来は貸主がリフォーム費用を負担して部屋を綺麗にしてから貸し出すのが一般的でした。

 

しかし費用負担が難しく空室が埋まらない古い物件も増えています​。そこで借主が自分で内装をリフォームする代わりに、貸主は家賃を安く設定したり原状回復を免除したりするDIY賃貸が登場しました​。

 

貸主側はリフォーム費を負担せずに済み、借主側は好みの部屋に住めて家賃も割安になるという双方メリットがあります​。実際、借主にとっては「持ち家感覚で好きに模様替えできる」「安い家賃で借りられる」などの利点があります​。

 

一方で、貸主にとっては「借主が長く住んでくれやすい」という効果が期待できる反面、借主の好みによる改造が次の入居者に合わないリスクもあります​。

 

ではDIY賃貸でどこまで可能か?

基本的には契約で許可された範囲で内装を自由に変えられます。例えば壁紙の張替え、塗装、床材の変更、棚の設置など、室内の構造に影響しない改造が典型です​。

 

工事は自分で行っても専門業者に頼んでもOKですが、水道・電気といったインフラ部分や建物構造に関わる改修は、法律上専門資格が必要だったり貸主の許可が降りにくかったりします。また賃貸ごとにオーナーの方針や契約条件が異なるため、「どこまでDIYして良いか」のラインは物件ごとに確認する必要があります。

 

要点として、DIY賃貸は通常の賃貸契約に特約を付けてDIYを許可するスタイルが多く、契約内容次第で可能な範囲が決まります。「壁紙と床の変更のみOK」「構造に影響なければ基本何でもOK」「退去時原状回復なし」など様々です。次章で、その契約時の取り決めや原状回復ルールについて詳しく見てみましょう。

 

賃貸での原状回復ルールとDIYの注意点

賃貸物件における原状回復とは、「借主の居住によって生じた損耗やキズのうち、通常使用の範囲を超えるものを元の状態に復旧すること」とガイドラインで定義されています​。簡単に言えば、普通に暮らしていれば生じる経年劣化は除き、借主の不注意や改造で生じた傷みを直して返す義務のことです。

 

壁紙の日焼けや床の軽い擦れなどは経年劣化とされますが、画鋲穴や落書き、過度な模様替えによる変更は借主負担で元通りにするのが原状回復となります​。 通常の賃貸契約では、この原状回復義務があるため勝手なDIYは基本NGです。

 

例えば「壁にペンキを塗る」「壁に穴を開けて棚を付ける」といった行為は、退去時に壁紙張替え費用などを請求される可能性があります​。どこまでが許容範囲かはトラブルになりやすく、画鋲程度の穴でも揉めるケースもあります。また貸主の許可なく大きな改造をすると契約違反になる場合もあるため注意が必要です。

原状回復のルール確認ポイント

賃貸でDIYを楽しむには、まず契約上のルールと原状回復範囲を把握することが大切です。契約書や重要事項説明書を確認し、以下の点をチェックしましょう。

模様替えや改造に関する特約の有無

例えば「壁紙の変更は借主負担で可」「原状回復は一部不要」等の記載がないか確認します。

原状回復の具体的範囲

国交省のガイドラインを参考に、通常損耗と判断される範囲と借主負担となる範囲が書かれているか​。

貸主への事前許可が必要な行為

一般に「釘打ち禁止」「ペット不可」などと同様に、改装について禁止・許可事項が記載されている場合があります。もし契約上DIYに関する言及がない場合は、必ず貸主や管理会社に相談しましょう。勝手に大型のDIYをして退去時に現状復旧できないと、高額な補修費用請求につながりかねません。

DIYを行う際の事前取り決め(特約)の重要性

近年普及しているDIY型賃貸借では、契約時にDIYに関する特約を結ぶのが一般的です。国土交通省もトラブル防止のため、DIY可能とする場合は事前に貸主・借主で合意書を取り交わすよう推奨しています​。特約で明記すべき典型的なポイントは以下の通りです。

改造内容と範囲の明確化

どの部屋のどの部分にどんなDIYをして良いか具体的に合意しておきます​。例えば「居室内の壁紙張替えと床材変更を許可」「構造躯体に影響する工事は禁止」など。

退去時の原状回復の有無

DIYで手を加えた箇所を退去時に元に戻すかどうかを決めておきます​。特約で「改修部分の原状回復義務を免除する」と記載すれば、退去時そのままでOKになります​。
DIYで設置した設備・造作の所有権:取り付けた棚や床材などを退去時に残していくのか撤去するのか、残す場合その所有権は貸主に帰属するのかを決めます​。

DIY施工中の責任範囲

工事中に発生した近隣への騒音・ホコリ被害や、事故・ケガが起きた場合の責任は誰が負うかを取り決めます​。通常は作業する借主側が注意義務を負い、重大な損害が出た場合は借主負担となる旨を合意しておく必要があります。

工事期間や近隣周知

いつからいつまで工事を行うか、事前に隣人へ告知するかなどのマナー面も決めておくと安心です​。このような特約を結んでおけば、後々「ここまでやって良いとは聞いてない」「原状回復するはずでは?」といったトラブルを避けられます​。

 

DIY前に少し面倒でも、貸主としっかりコミュニケーションを取りルールを明確化することが成功の秘訣です。 また、電気工事や水道工事は資格が必要なので、DIYで触れるのはコンセントプレート交換程度に留め、配線工事などは無理せず業者に任せましょう​。安全面で不安があれば専門家の力を借りることも大切です。

 

DIY可能な賃貸物件の種類と探し方

「自分もDIYできる賃貸に住みたい!」と思ったら、まずはDIY可物件を探すことから始めましょう。最近は賃貸情報サイトでも「DIY可」「リノベーション可」などの条件で検索できるようになってきました。

DIY可能物件の探し方(ネット検索編)

不動産ポータルサイトでは、物件検索の絞り込み条件に「DIY可」「原状回復不要」などを設定できるところがあります。例えば大手サイト「アットホーム」は「DIY可の賃貸物件特集」を組んでおり、「自由にリフォームできる物件でお好みの内装にできる」と紹介しています​。

 

また「CHINTAIネット」や「SUUMO」でもキーワード検索で「DIY可」を入力すると該当物件がヒットします​。その他、地域密着型の情報では「○○(地名) DIY 賃貸」で検索すると地元不動産会社のサイトや自治体の住宅供給公社のページが見つかることもあります。

 

例えば愛知県住宅供給公社では「賃貸住宅deDIY」としてDIY可能な物件を紹介しています​。このように、公的機関やUR都市機構、地方の不動産会社も独自にDIY歓迎の物件情報を発信しているので見逃せません。

 

最近では空き家活用のサービスも注目です。自治体の「空き家バンク」は売買が中心ですが、中には借り上げた空き家をDIY可で貸し出すケースもあります。千葉県松戸市の「omusubi不動産」のように、空き家や空き店舗をアーティストやクリエイター向けにDIY可能賃貸として提供し、個性的な空間づくりで街の魅力向上につなげている例もあります​。

 

二拠点生活で地方の古民家を借りてセルフリノベする人も出てきており、ネット検索と合わせて地域の情報をチェックするのがおすすめです。

 

≫ デュアルライフ(二拠点生活)のメリット・デメリット徹底解説

 

内見時に見るポイント・交渉ポイント

DIY可物件を見つけたら、実際に内見(下見)に行って確認すべきポイントがあります。通常の物件選びに加えて、DIY前提ならではのチェックやオーナーとの交渉ポイントを押さえましょう。

部屋の現状と傷み具合

壁や床の状態を確認します。古く傷んでいるほどDIYしがいがありますが、構造的なダメージ(雨漏り跡や床の傾き等)があるとDIYでは対処できません。「現状有姿」で貸す物件の場合、補修が必要な箇所を見極めることも大切です。

壁や天井の材質

コンクリート壁か石膏ボード壁かで、施工できる内容が変わります。石膏ボードなら画鋲やビス留めがしやすいですが、コンクリ壁だと下穴が必要でDIYの難易度が上がります。天井や柱の材質も要チェックで、木製なら突っ張り棚が立てやすい等の判断材料になります。

コンセント・配管の位置

キッチンをDIYで改造したい場合など、コンセントの場所や数、水道管の配置を確認しておきます。追加工事なしで配置換えできるかイメージしましょう。

音の響き具合

子どもの足音対策など防音DIYを考えるなら、床を踏んだ感触や隣室との壁の厚みも見ておきます。実際に足踏みしてみて響くようなら、防音マット設置が必要だとわかりますし、鉄筋コンクリート造か木造かでも防音計画が変わります​。

オーナーへのヒアリング

内見時に具体的に何をDIYしたいかオーナー(または管理会社)に相談してみましょう。「壁に棚を付けたいのですが…」など聞けば、その場でOKかNGか教えてくれることもあります。OKの場合でも「では契約時に特約で明記してください」とお願いしておくと安心です。逆に渋るようなら後々トラブルになる可能性もあるので、その物件は再考しましょう。

 

ポイントは、「入居後にどんなDIYをしたいか」をイメージして、それが可能かどうかを内見で確かめることです。内見時にDIYの話を切り出すとオーナー側にも熱意が伝わり、交渉次第で「そこまでやりたいなら特約つけましょうか」と前向きに検討してくれるケースもあります。

 

空き家や古民家を使ったDIY賃貸の事例

最近増えているのが、空き家や古民家を再生したDIY可賃貸です。地方を中心に長年空室だった家屋を「内装自由」にして貸し出し、借主自らリノベーションして住んでもらう試みが各地で見られます​。

 

例えば、ある地域では築50年以上の古民家を月額数万円で貸し出し、借主が壁の漆喰を塗り替えたり床を張り替えたりして再生したケースがあります。その結果、古民家が蘇り地域に人が戻ってきたという成功例も報じられています。

 

また空き家を使ったDIY賃貸では、地域のNPOや自治体が仲介して道具の貸出やリフォーム講座を開催するなどサポート体制を整えている場合もあります。 都市部でも、古いアパートの一室を借主がセルフリノベしておしゃれな空間に変えた事例があります。

 

SUUMOの紹介例では、築41年の下町の1Rをシングルの男性がDIYでフルリノベーションし、シンプルでクールな部屋に生まれ変わらせています​。また築18年のメゾネット物件を20代女性がカスタマイズ賃貸として入居し、自分でペンキを塗ったり家具を配置して北欧風のおしゃれ部屋にしたという例もあります​。

 

空き家・古民家の場合、構造自体が古く傷みもあるためDIYのハードルはやや高めですが、その分「自分で家を蘇らせた」という達成感や愛着は大きいようです。「家賃格安+改修自由」の条件で借りて、自分好みに直しながら住むスタイルは、リゾート地にセカンドハウスを借りる二拠点生活者にも人気が出てきています。

 

ただし古民家DIY賃貸では雨漏り修繕や構造補強などDIYの範囲を超える問題も起こりえます。契約前に建物調査をしてもらう、貸主側で最低限の補修はしてもらう、といった交渉も必要です。

 

成功例ばかりでなく、借りてみたら想像以上にボロボロで手に負えず途中で退去…なんて失敗例も耳にします。古い物件ほど事前によく状態を確認し、無理なくDIYできる範囲か見極めることが大切です。

 

URや公的機関が提供するDIY可能賃貸制度【原状回復なしOKの裏技】

公的な住宅機関も、近年DIY可能な賃貸制度を打ち出しています。代表的なのがUR賃貸住宅(都市再生機構)の「DIY住宅」です。URでは一般的な賃貸で必要となる原状回復義務を免除し、入居者が思い切りDIYできる特定物件を提供し始めました​。

 

URの公式サイトによれば、「UR-DIYなら賃貸住宅で思い切りDIY!壁も床もキッチンも自分らしくDIYしたい人のためのUR賃貸住宅、それがUR-DIY」と謳われており、実際にDIYした入居者の事例紹介も行われています​。 またURの場合、DIYするための一定の準備期間を設けてくれるのも特徴です​。

 

入居後すぐに施工に取り掛かれるよう、通常より早めに鍵を渡してくれたり、場合によっては初月の家賃を安く設定したりといった支援策もあります(物件により異なる)。 地方の住宅供給公社もDIY賃貸に積極的です。

 

例えば大阪府住宅供給公社は「スマリオ」という団地ブランドで約12,000戸ものDIY可能住宅を用意し、「つくろう家(うち)」というDIYサービスを提供しています​。「原状回復不要でDIY可」が売りで、初心者向けにプロのDIYアドバイザーが講習してくれるプランもあるほどです​。愛知県住宅供給公社でも一部物件でDIY届出をすれば原状回復義務が緩和され​、壁紙の張替えや塗装、棚の取り付けなど自由にできるようにしています​。

 

他にも東京都住宅供給公社(JKK東京)ではDIY住宅を契約すると家賃割引などの応援制度を用意したり​、兵庫県では神戸R不動産と連携して公社賃貸のDIYリノベを支援する仕組みがあったりと、公的機関発のDIY賃貸制度が各地に広がっています​。さらには福岡県でも名島団地で「届出書提出で原状回復なしOK! DIY特典あり」といった取り組みがされています​。

 

公的機関のDIY賃貸のメリットは、何と言っても制度がしっかりしている点です。届出や契約書式が整備されており、素人でも安心してDIYにチャレンジできます。また一般的に家賃も周辺相場より低めに設定されている場合が多く​、DIYにかかる費用を考慮してくれているのも嬉しいところです。

 

これらの制度を利用すれば、DIY初心者でも専門家のサポートを受けながら安全に進められます。「興味はあるけど自分一人では不安…」という方は、公的機関のDIYプランに応募してみるのも良いでしょう。

 

賃貸DIYでできるインテリア改造アイデア集【原状回復OKの裏技】

ここからは具体的に、賃貸でもできるインテリア改造のアイデアを分野別に紹介します。原状回復OKで楽しめるDIY術ばかりなので、ぜひ自分の部屋で実践してみてください。

壁をオシャレに変えるDIYアイデア

賃貸の雰囲気をガラッと変えるなら壁の模様替えが効果的です。おすすめは、貼って剥がせる壁紙シートを使う方法。最近は裏に粘着剤がついていて、水も糊も不要で貼れる壁紙が市販されています​。

 

例えばレンガ調や木目調のシートを壁一面に貼れば、部屋の印象が劇的に変わります。剥がすときも綺麗に剥がせるので原状回復も簡単です​。 また、ウォールステッカーやマスキングテープでアクセントを付けるのも人気です。マスキングテープは粘着力が弱く剥がしやすいので、写真やポスターを貼るのにも向いています​。

 

好きな柄のマステで壁にストライプ模様を作ったり、コーナーに額縁風の装飾をするだけでもおしゃれ度アップ。 さらに大きなコルクボードを壁に立てかけてフォトコーナーにするアイデアも◎です​。

 

壁に直接穴を開けずに、小物や写真を飾れるので気軽に模様替えできます。賃貸でどうしても塗装にチャレンジしたい場合は、一面だけ思い切って塗り、退去時に同じ色で塗り戻す覚悟で行う手もあります。

 

ただし壁紙の上からペンキを塗ると後で剥がすのが大変なので要注意です(実際、壁紙に塗装した塗料が下地に染み込み、剥がすのに通常より3日多くかかった例もあります​)。初心者はまずシール式壁紙などリバーシブルな方法から試すのがおすすめです。

床を模様替えするDIYアイデア

床の色柄を変えると部屋の雰囲気が一変します。賃貸OKな床材として注目なのがフロアタイルやクッションフロアシートです。こちらも最近は「置くだけ」「貼って剥がせる」タイプのものが販売されています​。

 

木目のフロアタイルを敷き詰めればフローリング風にできますし、ヴィンテージ調タイル柄のクッションフロアを敷けばカフェ風の床になります。 さらに手軽なのがタイルカーペットとジョイントマットです。

 

タイルカーペットは50cm角程度の正方形カーペットで、並べて敷くだけでOK。汚れた部分だけ外して洗えるのでメンテナンスも楽です​。ジョイントマットはEVA樹脂などでできたパズル状のプレイマットで、厚みがあり防音にも役立ちます​。

 

特に小さなお子さんがいる家庭では、ジョイントマット+防音カーペットの二重敷きが足音対策に効果的です​。 床全面を覆うのが難しければ、大きめのラグや置き畳を活用しましょう​。置き畳は裏に滑り止めがついた正方形の畳マットで、並べるだけで和モダンな空間に変えられます。厚みがあり音も吸収するので一石二鳥です。

 

収納や間仕切りを工夫するDIYアイデア

賃貸で収納や間取りを改善したい場合は、突っ張り棒や専用金具を使ったDIYが役立ちます。壁に穴を開けられなくても、床と天井で突っ張るタイプの棚受け金具(商品名: ディアウォールやラブリコ等)を使えばしっかり固定できます。

 

2×4材(ツーバイフォー)という木材を天井高にカットし、両端に突っ張り金具をつけて立てれば、柱を一本増設する感覚です。その柱に板を取り付ければ壁面収納棚の完成! 原状回復時は柱を取り外すだけで跡もほとんど残りません。 この方法でDIY間仕切りを作ることもできます​。

 

例えばリビングの一角に突っ張り柱を2本立てて板を張れば簡易のパーテーションに。パーテンションをプチDIYリノベの事例では、6時間・約25,000円で部屋の真ん中にオシャレな間仕切り壁を作っています。賃貸では広いワンルームを仕切って使いたいニーズもあるので、こうした穴を開けない間仕切りDIYはとても便利です。

 

収納面では、クローゼットを改造するアイデアもあります。押入れに可動棚とハンガーパイプを設置してクローゼット化した例では、約1時間・20,000円で使いやすい収納に生まれ変わりました​。これも既存の穴や柱を活用してネジ留めしているので、跡をほぼ残さずに取り付けています。

 

その他、小物収納には吸盤タイプやマグネットタイプのフックも活躍します。浴室のタイル壁やキッチンのステンレス面には吸盤フックを使えば傷を付けずに収納力アップ​。冷蔵庫側面など磁石の付く場所にはマグネット式のラックを付けて調味料棚にするなど、工夫次第で「貼って剥がせる収納」が実現できます​。

キッチン・水回りのプチDIYアイデア

賃貸のキッチンや洗面所も、DIYで使い勝手よくオシャレに変えられます。例えばキッチンの壁(キッチンパネル)にリメイクシートを貼ると雰囲気が一新。タイル柄やカフェ風レンガ柄の防水シートを貼れば、殺風景なキッチンが楽しい空間になります。これも剥がせるタイプを使えば退去時安心です。

 

水栓金具やシャワーヘッドの交換も有効なプチDIYです。古い蛇口を新品に変えれば見た目も衛生面もアップしますし、シャワーヘッドを節水タイプに替えれば水道代節約にもつながります。これらは元のパーツを外して付け替えるだけなので原状回復も簡単です(元の部品は保管しておき、退去時に戻しましょう)。

 

また、キッチンにディッシュラック(突っ張り式の水切り棚)を設置したり、シンク下に突っ張り棒で収納棚を作ったりするのも定番テクです。どれも穴を開けずに空間を有効活用でき、賃貸暮らしを快適にしてくれます。

 

バス・トイレでは壁に貼るタイプの鏡やタオル掛けも便利です。吸盤や強力両面テープで付けられる鏡なら、好きな高さに設置できます。剥がせる両面テープを使えばきれいに原状復帰できます​。

 

実際、コクヨの「ひっつき虫」やダイソーの「粘着タック」といった綺麗に剥がせる接着剤も市販されており、壁にちょっとしたフックを付けたいときに重宝します​。このように、キリがないほど様々なDIYアイデアがありますが、共通するコツは「後で簡単に原状回復できるか?」を常に考えることです。

 

シール式・吸盤式・突っ張り式など、ネジや釘を使わない方法を優先して選べば、退去時もラクラクです。次章では、防音対策や原状回復テクなど、より実用的な裏技を見ていきましょう。

 

騒音や近隣トラブルを防ぐDIY防音工夫

賃貸暮らしで意外と多い悩みが生活音による近隣トラブルです。特に小さなお子さんがいる家庭では「子どもの足音が階下に響かないか心配…」という声も。そこで、防音対策に役立つDIY術を紹介します。どれも賃貸で実践しやすい工夫なので、騒音トラブル防止に役立ててください。

床の防音対策アイデア

衝撃音(ドスンドスンという足音)対策には、床に敷物を重ねるのが有効です。まず手軽なのはジョイントマットやコルクマットを床一面に敷き詰める方法です​。厚さ1cm程度のクッション性があるマットを敷くだけで、走り回ったときの床への衝撃をかなり和らげられます​。さらにその上に防音カーペットを敷くと効果倍増。

 

市販の防音カーペット(例:「静床ライト」など特殊3層構造の製品)は、防音等級(Δ等級)が明示されており、組み合わせるとかなり音が軽減できます​。 もう一つ効果的なのは置き畳です​。畳マットは重量があって厚みもあるため、子どもの飛び跳ね音も吸収してくれます。

 

正方形タイプをリビングに何枚か置くだけでも、防音と和テイストの両方を楽しめます。 防音目的なら、床全面を覆うくらい思い切って敷くのがポイントです。部分的だと結局そこ以外から音が出てしまうので、ラグも極力大きめサイズを選びましょう。

壁・窓の防音対策アイデア

テレビや楽器の音、話し声などの空気音対策には、壁と窓の防音が重要です。まず壁には吸音パネルや遮音シートを貼る方法があります。市販のウレタンやポリエステル製の吸音パネルを両面テープで貼れば、壁に当たる音を吸収できます​。また薄手の遮音シート(鉛シートなど)を壁に貼ると音の透過自体を抑えられます​。

 

遮音シートは施工に少し手間がかかりますが、最近は最初から板状になっていて壁に立て掛けるだけのワンタッチ防音壁という製品も登場しています​。防音専門店の「防音壁」などを活用すれば、賃貸でも手軽に壁の防音性を高められます​。 家具を配置して防音することもできます。

 

大きな本棚やタンスを防音したい壁際に置くと、それ自体が音を遮る壁の役割を果たします​。さらに子どもが壁を叩いてしまう場合でも、手前に家具があれば直接壁を叩けないので被害軽減になります​。家具が倒れないよう耐震・転倒防止策は忘れずに。窓から音が漏れる場合は、厚手の防音カーテンが効果的です​。遮音等級表示のあるカーテンを二重(レースも防音タイプに)で掛ければかなり音漏れが違います​。

 

可能であれば、窓自体を二重サッシにするのがベストです​。内窓ユニット(インプラス等)を後付けする方法で、防音性能が飛躍的に向上します。ただしこれは賃貸ではオーナー許可や費用の問題があるので、まずはカーテン+家具配置などから試すと良いでしょう。

 

ドアや生活設備の防音対策アイデア

意外と響くのがドアの開け閉め音や椅子の脚音です。これも簡単DIYで対策できます。例えば椅子の脚にフェルトカバーを履かせると、床に引きずる音がかなり静かになります​。100円ショップで脚カバーが手に入るので、ダイニングチェアなどには必ず付けましょう。

 

玄関ドアのバタン!という音にはドアクローザー(ドアがゆっくり閉まる装置)が有効です​。賃貸の玄関ドアには最初から付いている場合も多いですが、室内ドアに後付けする製品もあります。上部にネジ留めが必要ですが、小さな穴程度で済み目立ちません。 さらにドアに防音テープを貼るのも効果大​。

 

ドア枠に沿ってクッションテープを貼れば、閉まる音を吸収し衝撃も和らげます。ドアの隙間風防止にもなる一石二鳥アイテムです。 最後に、防音対策ではありませんが生活時間の工夫も大切です。どんなに防音しても深夜のドタバタは響きます。

 

夜間は子どもに走らないように伝える、早朝深夜の洗濯や掃除は避けるなどマナーの面でも気を付けましょう。技術とマナーの両面で防音対策することで、近隣トラブルを未然に防ぎ、みんなが快適に暮らせます。

 

原状回復に役立つアイテム&補修方法

賃貸DIYを楽しんだら、いずれ来る退去時には原状回復もきちんとして円満退居したいですよね。ここでは原状回復に便利なアイテムや補修テクニックを紹介します。事前に用意しておけば、いざ退去という時に慌てず対処できます。

穴埋めパテ&補修剤

画鋲穴やネジ穴程度なら、市販の「穴埋めパテ」を充填すれば埋められます。壁紙用の補修キットにはクロス用のりや穴埋め材、ヘラなどがセットになったものもあり​、誰でも簡単に小さな穴を補修できます。また壁の小さなキズには補修用クレヨンやマーカーも便利です​。木目の色に合わせたクレヨンを塗り込めば、床や扉のひっかき傷が目立たなくなります​。100均でも木目用の傷隠しマーカーが買えるので用意しておきましょう。

接着剤・テープ剥がし

両面テープやシールを使った後には、シール剥がしスプレーがあると安心です。糊残りを綺麗に落とせるので、壁紙を傷めずに済みます。マスキングテープを剥がす際も、ゆっくり丁寧に剥がせば大丈夫ですが、万一壁紙表面が少し剥げてしまったら補修用のりで貼り戻すと良いでしょう。

ペイントリムーバー

もし壁を塗装してしまっていて原状復帰が必要な場合、塗料を落とすリムーバー剤があります。ただし壁紙に染み込んだ塗料は落とせないので、この場合は壁紙ごと張替える覚悟が必要です。塗装系DIYはリスクが高いので、事前にオーナーと「退去時は借主負担で全面クロス張替え」など合意しておくと安心です。

掃除道具

原状回復は「クリーニング」も含まれます。DIYとは少し離れますが、エアコン内部のホコリ、キッチンの油汚れ、水回りのカビなどは専門業者クリーニングになると高額請求されることも。日頃から掃除しておくか、退去前に自分で徹底掃除しておけば敷金が多く戻ってくる可能性もあります。

 

最近はホームセンターに行けば「賃貸原状回復コーナー」があるほど関連グッズが充実しています。壁紙補修シール、フローリング傷隠しテープ、フローリング用ワックス、網戸補修シートなど様々です。困ったときは店員さんに相談すると的確な商品を教えてくれるでしょう。

 

なお、DIY型賃貸契約で原状回復免除になっている場合でも、汚れたまま退去はマナー違反です。借主負担で付けた設備も、次の入居者が使いやすいよう綺麗にして引き渡すのが理想です。せっかく自分で手を加えたお部屋ですから、最後まで責任を持ってきれいに送り出してあげましょう。

 

DIY素材・アイテムの比較表(価格・入手先・原状回復のしやすさ)

最後に、賃貸DIYに役立つ主要な素材・アイテムについて価格や入手先、原状回復のしやすさを比較表にまとめました。計画や買い物の参考にしてください。

 

アイテム 価格目安 入手先 原状回復のしやすさ
貼って剥がせる壁紙シート ¥3,000~¥5,000/巻(5m程度) ホームセンター、通販、専門店 ◎(綺麗に剥がせる​)
リメイクシート(家具・キッチン用) ¥500~¥1,500/枚(大判) 100円ショップ、ホームセンター ◎(糊残り少なく剥がせる)
ディアウォール等突っ張り棚金具 ¥1,000~¥2,000/セット ホームセンター、通販 ◎(跡が残らない)
タイルカーペット ¥500~¥800/枚 ホームセンター、インテリア店 ◎(敷くだけでOK)
ジョイントマット(防音マット) ¥2,000前後(30cm角×8枚) ホームセンター、通販、ベビー用品店 ◎(敷くだけでOK)
吸音パネル ¥1,000~¥3,000/枚 防音専門店、通販 ○(貼ったテープを剥がすだけ)
貼って剥がせるフック類 ¥100~¥500/個 100円ショップ、雑貨店 ◎(綺麗に剥がせる​)
穴埋めパテ・補修クレヨン ¥300~¥800 ホームセンター、100円ショップ -(原状回復そのもの)

※「原状回復のしやすさ」は、◎:非常に容易、○:容易、△:やや注意、-:補修用品のため適用外、を示します。

 

この表を見るとわかる通り、最近は賃貸OKの便利グッズが豊富です。「貼って剥がせる◯◯」と名の付く商品は概ね原状回復しやすいと考えて良いでしょう。価格も手頃なものが多く、100均で揃うものもあります。これらを上手に活用して、安く・楽しく・綺麗にDIYしちゃいましょう。

賃貸DIYの成功例・失敗例から学ぶ

最後に、実際の成功談・失敗談をいくつか紹介し、賃貸DIYの教訓をまとめます。

【成功事例】DIYで理想の住まいを実現!

ある20代の女性は、「カスタマイズ賃貸」というDIY可物件に入居し、初めてのDIYに挑戦しました​。床材を貼り替え、壁紙も自分好みの色に塗装し、さらに友人と一緒にオリジナル家具まで作ったそうです​。築46年の古い1DKが、緑を基調とした癒しのSOHO空間に大変身し、取材記事では「DIY初心者とは思えないほど見事な出来栄え」と絶賛されています​。彼女は「手を動かすうちに部屋に愛着が湧き、ずっと住み続けたいと思えるようになった」と語っています。

 

また別のケースでは、築50年のUR団地に入居した初心者夫婦がコツコツとDIYを重ね、入居3年目の現在もリノベ進行形という事例もあります​。床や壁はもちろん、押入れを改造してキッズスペースにするなど工夫し、古い団地が家族の理想の住まいに変貌しています​。この夫婦はDIYイベントで知り合った他の入居者とも情報交換しながら進めたそうで、DIYがコミュニティづくりにも一役買っています。

 

さらに面白い成功例として、オーナーと借主が一緒にDIYをしたケースがあります。12年間で8回も引っ越してきたKさんという男性は、ある賃貸で初めて「この部屋に住み続けたい」と感じました。それは、オーナーと共同で壁紙貼りやペンキ塗りを行ったからだそうです​。

 

自ら手を加えたことで部屋に愛着が湧き、貸主にとっても入居者に大事に使ってもらえるwin-winの結果となりました。「大家さんと一緒に取り組んだDIYが、部屋に愛着を感じたきっかけ」と語るKさんの例は、DIYが人と人をつなぐ楽しさも教えてくれます​。

【失敗事例】ここに注意!原状回復トラブル

一方で、残念な失敗例もあります。ある大家さんの話では、10年以上住んでくれている優良入居者から「DIYしてもいいですか?」と相談され、「長く住んでくれるなら」と許可したところ、予想外の結果になったそうです​。

 

まずDIY許可後、わずか5ヶ月で退去されてしまい​、期待は外れる形に。さらにその入居者は壁紙の上からペンキを塗っていたため、退去後の原状回復に大苦戦…。塗料が壁紙の下地に染み込み、壁紙を剥がすのに通常より3人工(職人3人×1日)余計にかかると判明しました​。

 

見積もりに約3万円の追加費用が発生し、貸主が泣く泣く負担する羽目に​。結局家主自身も家族総出で壁紙剥がしを手伝い、なんとか撤去したそうですが、「許可したのが間違いだった」と後悔したとのことです​。

 

この失敗から学べるのは、「塗装するなら原状復帰まで計画に入れる」「途中で退去もあり得ると想定する」という点です。特に壁の塗装は賃貸DIYのハイリスク領域なので、どうしても塗りたい場合は最初から壁紙を剥がして自分で貼り替えるくらいの覚悟が必要でしょう。

 

また貸主側も、許可するなら「退去時は自分で原状復帰してくださいね」と念押ししたり、保証金を多めに預かるなどリスクヘッジが必要です。 他にも、強力すぎる両面テープで貼ったものを剥がしたら壁紙まで剥がれたとか、床材を固定しようと釘を打ったら床下の配管を傷つけてしまったとか、小さなミスが大事になるケースはあります。

 

「賃貸だから…」と甘く見ず、下調べとテストを十分に行うことが重要です。壁紙シールもいきなり大面積貼らず、端っこで試してみる、テープ類も剥がせるタイプを選ぶなど、慎重すぎるくらいが丁度よいでしょう。

 

賃貸DIYで理想の暮らしを手に入れよう【まとめ】

賃貸だからとインテリアをあきらめる必要はもうありません。DIY賃貸という選択肢を知り、ルールを守りながら工夫すれば、借り物の部屋でも驚くほど自分好みの空間に変えられることがお分かりいただけたでしょうか。

 

ぜひこの記事を参考に、賃貸DIYの計画を練ってみてください。物件選びから契約交渉、DIYプラン作り、実践、そして原状回復まで、一連のプロセスを経る頃にはあなたもDIY上級者! 賃貸でも思い通りのインテリアを実現して、毎日の暮らしをもっと楽しくクリエイティブにしていきましょう。

 

さあ、次のお休みはホームセンターに出かけて材料を揃えてみませんか? 賃貸だからと遠慮せず、あなたの“やりたい”を形にできるDIY賃貸ライフをぜひ満喫してください。きっとその先には、「借り物の部屋」ではないあなただけの大切な我が家が待っています。